なぜ歯並びが乱れてきたのか、という事に関しては個々に原因や理由があります。
その1つに「まっすぐに生えるだけのスペースが無かったため、なんとか上に出ようと曲がって生えてきた」ということがあります。これは凸凹の歯並びの子に多い理由です。
いざ、歯を並べよう!と意気込んでも、スペースが無ければまっすぐにはならびませんよね。
私はよく、こんな例えをします。
「駐車場をあごの大きさ・車を歯だと考えてもらいます。
永久歯は親知らずを数えなければ、上下14本ずつです。
10台分のスペースに14台は入りません。
なんとか入ろうとしてもまっすぐには出来ないですよね。
なら、どうするかと言えば、駐車場、つまりあごを大きくする必要があります。
14台分の駐車場があれば、後はまっすぐ並べるだけです。」
力を加えてあごを大きく出来るのは、乳歯が生えている間です。
すべて永久歯に生え変わってからは、あごの骨が固まりほとんど変えることが出来ません。
そのため、当院の矯正治療は小さい頃から始めることをお勧めしています。
では、いよいよどんな装置があるのか少しお話します。
当院で今多く使われているのが「プレオルソ」というマウスピースタイプの装置です。
(通常は個別に包装され滅菌されています)
写真ではわかりづらいかもしれませんが、素材はゴムでできているため柔らかいです。
基本的には夜寝ている間にお口に入れてもらうようになります。
従来の床装置(プレート)と違う点は、「ただあごを大きくするだけではない」というところです。
今多くのお子さんがアレルギーなどによる鼻詰まりのため、鼻呼吸が出来ず口呼吸になっています。
口呼吸の状態だと、本来上あごにぴったりついているべき舌の位置が下がってしまいます。
すると、上あごに舌からの力が加わらずになかなかあごが成長しないという事や、床装置であごを広げても、また縮んできてしまうということが起こるのです。
それ以外にも、口呼吸が全身の健康に及ぼす害は多くあります。
この「プレオルソ」には口腔機能の改善も可能にします。
「舌の正しい使い方を習得し、鼻呼吸を口呼吸に変える」
これが新しく出来るようになったことであり、歯並びの治療のためだけではなく、お子さんの将来のためにも必要なことであると、当院では考えております。
もちろんこれ以外にも装置の種類はありますし、個々に応じて使い分けていきます。
*矯正治療を始める際には、必ず事前にレントゲン写真・歯型の模型による診断が必要となります。